アルミフレームで作業机を自作する~構想・設計編~

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目次

まえがき

ものづくりには(設計でも加工でも)、"良い"机が必須だと思います。

僕の部屋にはMy机が無く、家にあるのは

  • ペラペラの樹脂製の折畳み机
  • 奥行きが無く細長くてガタガタする机
  • こたつ
  • 父→妹へ渡った(ちょっと軽い)机

と、万力台でヤスリ掛けするにも、パソコンをするにも、電子工作をするにも、(勉強をするにも?)とにかく向いてない机ばかりでした…

何をするにも妹の机を借りることになり、ヤスリ掛けに至っては机の重量が無いせいで固定が意味を成さず、床でやっています。

また、僕の部屋には棚が2つとワゴン1つしか家具がなく、押し入れの中は分類が不十分で材料と工具でごった返しています。

自転車のレストアを床でやっていたため、床も悲惨です。

新型コロナウイルスの影響で始業がかなり遅くなり、夏休みよりも伸びた春休みの真っ最中という良い(暇な)機会なので、部屋の整理をするために収納器具が(ついでに机も)欲しいと父に相談したところ、詳細に計画を立ててからなら良いと言われました。

紙に描くかCADでやるか迷いましたが、今後の家具・収納の追加や、引っ越し等で家具の使いまわしの可否の判断などに便利だと考え、Fusion360で部屋を3Dモデル化することにしました。

しかし、念願だった机が作れるというのに部屋を先にモデリングできるはずがありません。
ということで机を設計します。

机に求める仕様

まず、天板の色は黒です。これは確定事項です。

何故なら好きなので。

用途

木工・金工・電子工作・レザークラフト・裁縫・PC作業

もしかしたら勉強、といった具合でしょうか。

高さ

当初、彫金机を参考にして作りたいと考えていました。

削って出る粉を受ける部分や目に物理的に近く作業が見えやすいのは良いことです。

しかし、彫金机の高さ(90cmくらい)では作業によって向き不向きが極端です。

机に台を載せてやれば高さを上げることができるので、机自体は通常の高さにすることにします。

身長からおすすめの天板の高さを計算して教えてくれるサイトや疲れにくい姿勢について調べたことを参考に、妹の机に板を敷いて実際に高さを体感してみて(この記事はその状態で書いています)74cmに決定しました。

天板の材質

作業机の自作では、専ら木材が天板として使われています。値段や加工性の良さが理由でしょうか。

しかし僕にはずっと好きだった天板があります。

理科室の実験台の天板です。

艶消しの黒でかっこよく、すべすべで、ひんやりしているけど冷たすぎることはなく、耐薬品性に優れ、耐熱性もそれなりにあり、学校で使われるレベルなので圧倒的な耐久性を誇ります。

つまり実用性も見た目も最高なのです。

実験台をそのまま買うわけにはいかないので、実験用の作業台を探しました。

それで見つけたのがサカエの軽量実験用作業台です。

しかし高さが80cmということで、天板だけ購入し脚は自分で作ることにしました。

この天板にはいくつか種類があり、見つけたのはグラサル・トレスパ・特殊アクリル系樹脂・メラミンでした。

中学時代に理科室の机でシャーペンのローレット "が" 削れるということを経験したことがあり、真鍮が削れる材質というと硬質セメントが基板となっているグラサルだと判断しました。

Amazonで発見したので注文したのですが在庫がなかったようでキャンセルにされ、もう一方の業者でも同じことになりました。

製造が終了しているので仕方のないことですね。

実験台天板の解説を見つけたので参考にし、耐熱性は劣れど耐薬品に勝るというトレスパ天板を注文し現在到着待ちです。

薬品より半田ごての方がよっぽど扱う時間が長そうですが、無いものは仕方がないので妥協します…

構造

ヤスリ掛けでは切削抵抗により土台(机)に前後方向の力が加わります。これに耐えるには、剛性と重量、奥行きが必要です。

天板の寸法は1200×750×40,1500×750×40,1800×750×40の3つがありましたが、奥行きはどれも同じだったので一般家庭サイズの1200にしました。

とは言っても、4人家族用の食卓くらいはあるのでめっちゃ広いです…

サカエの天板には天板取付ピッチというものがあり、その間隔にあけられた穴とM8×18の六角アプセットセムス(プラス型の溝がある六角ボルト)を用いて本体(机の脚)と固定するようです。

1200の天板取付ピッチは800×510だったので、それに合わせてアルミ構造材を組み合わせ、脚を作ります。

脚の間隔は天板取付け穴に干渉せず、また安定性を損ねないように広く取るようにします。

しかし、クランプ等で何かを天板の縁に固定することがあるかもしれないので、取付け穴位置の関係で設計の制約が緩い短辺では縁から10cmのアルミ構造材が存在しない空間を確保します。

(下にある3Dモデルを見れば分かりますが、長辺は同じようには行きません…)

厚さが40mmもあり、天板の体積が大変なことになっているのでまず確実に重いです。

この天板をしっかりと支えることができる脚を設計すれば、屋内でできるどんな作業にも対応できるでしょう。

何kgになるのかは分かりませんが、まず確実に重いであろう机を4本足で床に置くと、賃貸なのに床が大変なことになってしまいます。

また、個人でなら一生使えるかもしれない程の天板の裏側に傷が入るのも避けたいところです。

脚は汎用部品で作るのですから、痛んでも交換すればよいのです。

ということで、床と天板の裏には荷重が集中しないよう、アルミフレームに分散させる構造にします。

使うアルミ構造材の種類

参考にさせていただいたブログで見たガセットジョイントに一目惚れしてしまったので、SUS(ステンレスではなく社名)のXFシリーズを使います。※2022年6月30日をもって廃盤になりました。

しかし、XFシリーズはSFシリーズと違ってどこでも好きにねじ留めができる構造ではなく、アクセサリのタップベースを使っても天板が枠から浮いてしまいます。

ターンナットでは穴径が足りません。

汎用性が低いと感じるアクセサリが多く、天板と脚との固定方法に悩みましたが、M8で、フレーム面(天板と触れる部分)とツライチで、しかもステンレスというまさにピッタリなサイドナットを探し当てたのでこれを使うことにしました。

天板の穴がおそらく雌ねじで、サイドナットの穴も雌ねじだと少々都合が悪いのですが、サイドナットの穴をΦ8のドリルで広げてやればいけると思います。

部品のCADデータをダウンロード

カタログ・CADデータ検索から使う部品のページを開き、CADデータをダウンロードします。

Fusion360で扱うのでSTP(STEP形式)を選択しダウンロードします。

ZIP形式で圧縮されているので解凍します。

するとその中身はLZH形式で圧縮されているので適当なツールを使って解凍します。

そうしてできたものをFusion360にアップロードし準備完了です。

1つずつダウンロードするとファイル1つにつき2回ずつ解凍していく必要があるので地味に面倒です。

できるだけまとめてチェックを入れ、一気にダウンロードすると少しだけ手間が減ります。

モデリング

寸法と天板取付ピッチを参考に天板を作ります。

他は全てダウンロードしたものをコピーと移動で組み合わせてやればいいので楽です。

点から点の移動に若干のコツが要りますが、レゴみたいで楽しいです。

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これはサイドナットです。天板とフレームの接合部ですね。

フレームだけは部位によって長さが異なるので、部位ごとに別のデザインとして保存、押し出しで長さを調整、メインのデザインに挿入、という手順を踏みました。

部位ごとに分けておかないと、押し出しで長さを変えようとしても継ぎ目ができてしまいます。

完成した3Dモデル

ラーメン構造の梁を増やそうか迷いましたが、見た感じなんとなくいけそうなのでこれで行きます。

机のあとにもまたアルミ構造材で工作する予定があるので、組み立てて足りなそうならまた足せば良いのです。

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初めてレンダリングで焦点とぼやけの調整をしてみました。

発注

M5のタップベースが2つあると、自転車用のボトルケージが取り付けられます。

また、ケーブルクランプもあると便利そうです。

机の脚の部品とこれらを合わせたものを発注します。

フレーム内蔵の、見えないところに使うジョイントが一番高いです。地味に多いというか増やしすぎました。

フレームの加工記号もPDFで探し当てる必要があり、最初はどこ見ればいいのかさっぱりでした。(2020年4月16日現在 XFシリーズは414ページでした)

計算によると合計27424.32円のはずですが、果たして…

追記

部品ごとに金額が設定されるのですが、部品によっては生じる小数点以下は切り捨てられるようで、27423円+税でした。

そもそもの長さの読み取りミスがなければ、間違いなく注文書に内容を写せたようです。

注文にはネット発注システムのWEB SUSを使いますが、推奨ブラウザがIEかSafariという…えぇ…

このパソコンを使い始めて結構経ちますが、IEがようやく日の目を見た気がします。

また、初めて注文する際にはWEB SUSの利用登録を行う必要があり、翌営業日までに「ID」「パスワード」が送られてくるという仕様なので僕みたいに変な時間にやると待ち時間が生じて虚無になります。(今がそう)

追記2

午前2時ほどに登録したのでこれは長くなるな…なんて思ってたら、寝て起きて11時前には来てました。

思ってたよりずっと早かったです。

続く

📄Arrow icon of a page linkアルミフレームで作業机を自作する~組立編~

おまけ

部屋のモデリングと家具のモデリングもできました。

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机以外は造形も色も適当な感じです。椅子はコクヨの3Dデータをダウンロードしました。
今使っているものに雰囲気がそっくりです。

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壁もドアもないので妹の部屋とリビングと直結です。